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開催日: 2014年8月31日(日)

<みんなの疑問解消編>腫瘍科

講師

小林 哲也先生
米国獣医内科学専門医(腫瘍学) 
日本小動物がんセンター センター長

演題

腫瘍科

関連ハンドアウト(参考資料)

オンデマンド

Vol.1
  • 腫瘍科

●低分化型リンパ腫が完全寛解に導かれないときの考え方●化学療法プロトコールを変更するタイミングとは?
5週目終了を原則寛解ラインと考えている。
9週終了時点を絶対寛解ラインとしている。ここで寛解していなければ治療を緩めない。

Vol.2
  • 腫瘍科

●でも完全完全寛解が得られなくても1年以上元気なリンパ腫を診たことがある!●完全寛解が得られない理由

○診断をもう一度確認
リンパ腫は低分化型、高分化型に病理検査において分けられる。
現時点では低分化型リンパ腫に関して細胞診で抗癌剤治療をはじめることが許されてる。
高分化型リンパ腫であれば全く治療が必要ないものもあり、初期には月に1回の経過観察でよいものもある。
○薬剤強度不足が考えられる。
投与量および投与期間を確認
○真の抵抗性リンパ腫の可能性がある。
レスキュープロトコールを検討
●Q&A

Vol.3
  • 腫瘍科

●リンパ腫治療が見切り発車された具体例
○細胞診を得意とする近所の先生に見てもらいリンパ腫と診断された
○臨床徴候や触診のみでリンパ腫と診断
○唾液腺炎や過形成病変と混同
○人の検査センターで、若齢犬の皮膚組織球腫がリンパ 腫と診断された

○サンプリングエラー
採取された細胞数が少量すぎて、あるいはアーチファクトが強すぎて確定診断が困難
●体表リンパ節腫脹の鑑別診断
○腫瘍性疾患
リンパ腫(高分化型 vs. 低分化型) 1〜3割が高分化型リンパ腫。
リンパ球性白血病
播種性組織球肉腫(組織球性肉腫)
悪性腫瘍のリンパ節転移
特に下顎リンパ節のみが腫れている場合など
○非腫瘍性疾患
感染性
細菌性、FIV 、ブルセラ、リケッチア感染症など
免疫介在性疾患
全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチなど
全身性真菌感染症
ヒストプラズマ症、ブラストミセス症、クリプトコッカス症など
アレルギー性疾患
ノミアレルギーなど

Vol.4
  • 腫瘍科

●多中心型 高分化型リンパ腫の1例●治療のまとめ●高分化型リンパ腫 治療開始ガイドライン
○リンパ節の腫脹によって臨床徴候が発現している場合(呼吸困難など)
○著しい臓器腫大が認められる場合
○血球減少症が認められる場合
○単クローン性高ガンマグロブリン血症が認められる場合
○食欲低下・衰弱・体重減少などの全身徴候が認められる場合●薬剤強度(Dose Intensity)
○一定期間内に投与される薬剤量
○最短期間内に最大量の薬剤を投与することは化学療法を実施する際の大原則●理想的でない薬剤減量の具体例
○副作用が怖いから

○この子はもう○○歳だから
正当性はない。
○この子は昔から胃腸が弱いから
○ご家族がとても神経質だから
○化学療法剤は高価なので全量は無理
半分だけでも投与?
これは完全否定。ジェネリックなどを使う等を考える。
やらないよりは効果があるかも?
●真の抵抗性リンパ腫の可能性 レスキュープロトコールを検討

Vol.5
  • 腫瘍科

●抵抗性リンパ腫の1例●治療のまとめ●レスキュープロトコールとは?

○レスキュープロトコールとは以下の第一選択薬に抵抗性を示すリンパ腫に使用されるプロトコール
ビンクリスチン
ドキソルビシン
シクロホスファミド
プレドニゾン
○いずれのレスキュープロトコールでも完全寛解率は 期待するほど高くない●「再燃かな?」って思ったら...
○休薬期間が設けられている場合
細胞診で再燃を確認
UW25プロトコールの先頭に
○プロトコールの最中であった場合
薬剤強度を高める
全薬剤が耐性を示しているかを一つずつ確認
ドキソルビシンのみが効果的であった場合はプロトコールに味付けが必要
●UW25プロトコール
休薬期間に入ったら必ずひと月に1回は検診すること。
腋窩と鼠径リンパ節も必ず触診すること。
再燃かと思ったらUW25プロトコールの先頭に戻る。それで8割くらい再寛解にもちこめる。
ドキソルビシンが生涯投薬量のマックスに達したらミトキサントロンに置き換える。

Vol.6
  • 腫瘍科

●ドキソルビシン+ダカルバジン●ダカルバジン(DTIC)

○単官能性アルキル化剤
5-(3,3-Dimethyl-1-triazeno)imidazole-4-carboxamide
○作用機序
プリン合成阻害
直接的なDNA障害
核酸のメチル化
○排泄
約50%は腎排泄
肝・肺からわずかに排泄
○主な副作用
胃腸障害(特に嘔吐)
血管外漏出で周囲組織の壊死
骨髄抑制
○禁忌・注意点
催奇形性を有するので取り扱い注意
○静脈内投与のみ
○犬の投与法および薬用量
ドキソルビシンとの併用プロトコールで 200 mg/m2 を5日間連続静脈内投与
800 mg/m2 を3週間毎に静脈内投与
○猫での使用法は確立していない
禁忌とされている文献もあるが確定ではない。
●ドキソルビシン+ダカルバジン プロトコール1●治療成績と副作用
○ドキソルビシンに抵抗性を示すリンパ腫に対する 奏効率= 53%(8/15)
完全寛解率= 33%(5/15)、部分寛解率= 20%(3/15)
○副作用
胃腸障害(特に嘔吐)
ドキソルビシンの蓄積性心筋障害に注意
●ドキソルビシン+ダカルバジン プロトコール2●治療成績
○第一選択プロトコール*に抵抗性を示すリンパ腫に対する奏効率= 71%(25/35)
完全寛解率= 63%、部分寛解率= 8.5%
反応期間= 50日間(0〜587日間)
○通院頻度を軽減 ●両プロトコールの比較●DOX+DTICプロトコールまとめ
○長所
ドキソルビシン抵抗性リンパ腫にも効果を示す可能性あり。
○短所
大型犬では比較的高価なプロトコール 初期に発表されたプロトコールの通院頻度は高い。

Vol.7
  • 腫瘍科

●Q&A●寛解と治癒の違い
○治癒:増殖しうる全ての 腫瘍細胞(幹細胞)が 根絶されていること
○完全寛解:理学的検査 および臨床検査で病変が 認められないこと●治癒 ≠ 完全寛解

Vol.8
  • 腫瘍科

●患者の認知率が低い医学用語●寛解の種類(WHO)
○完全寛解(CR)
○部分寛解(PR)→測定可能な病変が50%以上退縮
○維持病変(SD)
○進行性病変(PD)→病変が25%以上進行●奏効率の定義

○完全寛解と部分寛解を加えたもの
病変が50%以上退縮した症例が対象
維持病変は入らないことに注意
●RECIST 〜Response Evaluation Criteria in Solid Tumors〜
絶えずバージョンアップしているので最新を参照する。
○固形癌の治療効果判定の新ガイドライン(2000)
○腫瘍病変を一次元的に測定することで奏効率が 得られるモデル
○WHO評価体系の問題点
測定誤差により進行と判断されやすい
記録すべき最小限の病変サイズと数は?
複数病変における「進行」の定義?
CTやMRIなどの三次元的測定の評価をどのように集積させるか?
●WHOとRECIST評価の比較
効果判定はWHOが2方向で計測可能な病変に対してRECISTは最長径
CRに関してはどちらも同じ全病変の消失
PRはWHOが50%の縮小に対してRECISTは>30%の縮小
SDに関してはどちらも同じPR >基準>PD
PDはWHOが>25%の増大に対してRECISTは>20%の増大

Vol.9
  • 腫瘍科

●分子標的薬の立ち位置●分子標的薬は外科治療にとって代わる?
×これからも切除できるのであれば外科手術が第一選択となるだろう。
分子標的薬は既存の化学療法を上回ることはないが、遺伝子変異がある個体に関しては100%に近い奏効率がある。但し全てがCRになる訳ではない。
最終的には外科手術よりもコストなども上回る。
肥満細胞種に関しては今のところ 外科手術>放射線療法>化学療法

Vol.10
  • 腫瘍科

●化学療法の適応例
○グレード3に近いグレード2、あるいは全てのグレード3 の肥満細胞腫
○転移性の肥満細胞腫
○外科あるいは放射線治療が適応とならないほど進行した 肥満細胞腫(化学療法単独治療)
○外科マージンがどうしても十分に確保できない肥満細胞腫 の補助治療
○ネオアジュバンド治療(術前化学療法)●肥満細胞腫の化学療法

○肥満細胞腫への効果が確認されている主な化学療法剤
CCNU (ロムスチン)←日本未発売
ビンブラスチン
ビノレルビン
プレドニゾロン
イマチニブ(グリベック)
マシチニブ(マシベット)←日本未発売
トセラニブ(パラディア)
クロラムブシル←日本未発売
ヒドロキシウレア など
●Q&A

Vol.11
  • 腫瘍科

●獣医領域で使用される主な経口化学療法剤●シクロホスファミド

○投与法および注意点
原則的に空腹時(投与後に吐き気を引き起こすことあり)
原則的に分割すべきではない
●エンドキサン原末の調剤法
○注射薬と同じ成分
エンドキサン原末100mg= 157円/瓶*
注射用エンドキサン100mg= 320円/瓶*
○エンドキサン原末を5mlの精製水で溶解(20mg/ml)
さらに単シロップ5mlを加えて10mg/ml
○溶解後は冷蔵保存で4週間以内に使用●ロムスチン(CCNU)
○投与法および注意点
原則的に空腹時(空腹時に投与した方が嘔吐を引き起こす 頻度を軽減)
●メルファラン
○投与法および注意点
空腹時
メルファランの細胞内取り込み機構はロイシンなど一部のアミノ酸輸送システムと機能を共有
ロイシンの摂取↑
→ メルファランの取り込み↓
遮光保存
●クロラムブシル
○投与法および注意点
空腹時
食事と投与すると吸収が不安定 になる可能性あり
冷蔵保存
●イマチニブ
○投与法および注意点
食後
●トセラニブ
○投与法および注意点
食後
犬が気持ち悪そうにするようであれば、投与45分前にマロピタントを投与
●経口の化学療法剤の投与法のまとめ
○空腹時あるいは原則的に空腹時に投与すべき薬剤
シクロホスファミド
ロムスチン(CCNU)
クロラムブシル
メルファラン
○食後に投与すべき薬剤
イマチニブ
トセラニブ

Vol.12
  • 腫瘍科

●専門病院に紹介する理由とタイミング

○専門病院に紹介する理由
症例がややこしい
ご家族がややこしい
○紹介するタイミング
いつでも...
ご家族に紹介を頼まれる前の方がよい??? 引っ張りすぎないほうがいい。
●専門病院に紹介する目的例
○腫瘍性疾患を疑う症例
確定診断
○腫瘍性疾患と診断された症例
診断の確認
予後判定
治療指針の作成 or 治療〜定期検診
セカンドオピニオン
臨床試験への参加
●紹介前の Do's and Don'ts
○原則的にはない
○紹介前の期間に必要であれば、必要な治療を実施
○強いて言えば...以下
○紹介直前にしない方がベターな処置の具体例
リンパ腫確定前のステロイド投与(高Ca血症の原因探求)
特に小さな肥満細胞腫に対するステロイド投与
比較的小さな膀胱内腫瘤に対するピロキシカム投与
注射部位肉腫を疑う際の中途半端な切除

動画要約(全文)

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