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開催日: 2013年2月10日(日)

神経科セミナー 2013

講師

Simon R. Platt BVM & S MRCVS,
Dipl. ACVIM (Neurology), Dipl. ECVN Professor Neurology Service Department of Small Animal Medicine & Surgery College of Veterinary Medicine University of Georgia

演題

"How to treat difficult seizures and status epileticus"
難しい痙攣発作およびてんかん重積に対する治療法」

関連ハンドアウト(参考資料)

  • 「難しい痙攣発作およびてんかん重積に対する治療法」(ご講演資料)

オンデマンド

難しい痙攣発作およびてんかん重積に対する治療法 Vol.1
  • 脳神経科

●全般発作(動画)
四肢、頭部などすべてが痙攣をおこす。流涎、意識の喪失もおこる。
飼主からの聞き取りでは本当に痙攣発作であったかどうかが重要。虚脱などと区別する。
全般性の発作であれば脳が障害を受けている。 ●焦点性運動発作(動画)
頭部など一部分で発作が見られる。頭部が一番多い。
部分的な炎症であったり脳の腫瘍や脳卒中などが考えられる。
特発性の場合もあるが、限局性の脳の障害が多い。 ●焦点性感覚/精神運動発作(動画)
幻覚などが見えている?付随性の運動を伴うことが少ない。
視覚や眼球に問題がないかを確認する必要がある。
頻度を確認して状態が悪化してないか確認する。
行動学的な問題で起こっていることもあるので注意。
発作の頻度が非常に高い場合、飼主、動物共にQOLを障害していることが多い。
MRIやCTなどでは異常がないことが多く、特発性となることが多い。(行動学的な薬剤であるプロザックやセロトニン吸収阻害薬などが必要になる)

難しい痙攣発作およびてんかん重積に対する治療法 Vol.2
  • 脳神経科

●てんかん発作の分類
原発性(機能性)、続発性(構造的)、反応性(代謝性・中毒性)の3つに分けることができる。
反応性は真の意味でのてんかん発作(糖尿病などの代謝性や中毒性など)ではない。
続発性てんかんは炎症や腫瘍など構造的変化に続発して起こる。神経学的検査で異常が見られることが多い。
原発性てんかんは興奮や抑制など機能的な変化によっておこる。原発性は従来から特発性と言われてきた。神経学的検査を行っても欠損は認められない。 ●鑑別診断
VITAMIND

V 血管性 - 脳卒中などで、突然の発症、左右非対称性の症状
I 炎症性、感染性 - 感染性、免疫介在性、通常は進行性で神経学的欠損あり
T 外傷性、中毒性 - 病歴聴取が重要
A 奇形(発達性) - 水頭症などで通常は若齢時
M 代謝性 - 肝性脳症、糖尿病、電解質の異常。通常は全身性の症状も併発(嘔吐、体重減少など)
I 特発性 - 他がすべてルールアウトできた場合に特発性という診断になる。6ヶ月から6歳での診断が多く、神経学的検査は正常。遺伝性のことが多いので純血種に多い。
N 腫瘍性、栄養性 - 腫瘍性であれば高齢、平均8歳
D 変性性 - 変性性であれば6ヶ月以下の若齢

難しい痙攣発作およびてんかん重積に対する治療法 Vol.3
  • 脳神経科

●特発性痙攣発作の治療
痙攣発作のコントロールを維持する(痙攣発作を完全に無くすわけではない)
受け入れがたい副作用を抑えることが重要。
生涯に渡って毎日治療する。突然休薬することはできない。再発する可能性と休薬再発後の治療はより困難になる。
治療中でも定期的に頻回の再評価が必要である。
緊急事態になる可能性がある。
薬剤に固有の危険性がある。 ●痙攣発作の治療
いつ始めるか?
頭蓋内疾患(感染、腫瘍)が原因であれば必ず抗けいれん作用薬を用いる。
てんかん重責状態は毒性、代謝性でなければ抗けいれん作用薬の投与を行う。
頻度に合わせて開始時期を決定する。4〜6週間に独立した発作が2回以上起こるなら開始。
8週間に群発性発作(24時間以内に2回以上の発作)が2回以上の発作が起こるならできるだけ早く開始

難しい痙攣発作およびてんかん重積に対する治療法 Vol.4
  • 脳神経科

●フェノバルビタール以外の薬を考慮するのは
まだ痙攣発作はあるが血清レベルが正常の上限である。これ以上増量できない時、有害作用がある時、肝疾患がある時、飼主が嫌がるとき ●フェノバルビタールの有害作用
特異体質性:過剰興奮、中毒性肝障害、免疫介在性好中球減少症、貧血、血小板減少症、猫のリンパ節の腫大、皮膚疾患(犬:壊死性、猫)。
用量依存性:鎮静、多飲多尿、多食(猫ではそれほど多くない)
臨床検査値変化:血清ALPの上昇、血清アルブミンの低下、6〜7割の犬で血清T4の低下(臨床的に正常であれば無視)、7%以下の犬で血清TSHの上昇
生命を脅かすもの:身体的依存性(休薬、減量は慎重にしないと発作が重篤になる)、機能的耐性、薬物誘発性肝毒性(早期に発見、対処しないと致死性。特に1年以上の投薬、血清レベルが上限の投与量の時に多い)

難しい痙攣発作およびてんかん重積に対する治療法 Vol.5
  • 脳神経科

●機能的耐性 ●補助薬:臭化カリウム
生体内変換しないので犬で非常に安全である。食餌中のCl濃度が上がると結合するので効果が落ちる。フェノバルビタール難治性の8割の犬をコントロールできる。
単独使用も可能であるが、6割くらいの効果しかない。SIDでもよいが安定させるまでに長い時間がかかる。安定状態は3〜6ヶ月。血清濃度800〜1500μg/ml ●負荷投与量
4〜6日で安定期に持って行ける。4〜6日100mg/kg/dayその後1日維持用量(30mg/kg/day、SID)を続ける。嘔吐や鎮静、脱力などが起こるので注意。緊急的処置のみ ●副作用
多飲多尿、多食、運動失調、鎮静(用量依存性)、掻痒、活動亢進、行動学的異常(人の成人では殺人傾向などが見られ使用が禁止された)、膵炎、猫では喘息様症候群(猫では使用禁忌10%が致死性)
副作用が見られたら7日間の休薬の後、用量を下げる、点滴、利尿剤の投与。

難しい痙攣発作およびてんかん重積に対する治療法 Vol.6
  • 脳神経科

●補助:ガバペンチン(Keppra)
良好な吸収で肝臓で代謝、10〜20mg/kg、PO。半減期が短いためTIDが必要。副作用は運動失調と鎮静。 ●補助:補助:レベチラセタム
非常に安全性が高い。10〜20mg/kg、フェノバルビタールとの併用ではより高用量が必要。液剤も使用可能
副作用は運動失調と鎮静、ハネムーン期間がある。
難治性の痙攣発作の犬の50%以上に効果があったとする報告がある。

難しい痙攣発作およびてんかん重積に対する治療法 Vol.7
  • 脳神経科

●ゾニサミド
レベチラセタムほど安全性はない。肝臓で代謝される。肝疾患のモニターが必要。
1日2回の投与でよい。
難治性の犬の80%で効果有りとの報告あり。
副作用は鎮静、運動失調、嘔吐、KCS ●フェルバメート
焦点性発作に効果あり、半減期が短いので1日3回投与が必要。フェノバルビタールよりも肝毒性がある?
フェノバルビタールが選択できない時のみ考慮する ●プレガバリン
次世代のガバペンチン、こちらも肝臓で代謝される。 ●将来の選択薬
ブリバラセタム、ラコサミド

難しい痙攣発作およびてんかん重積に対する治療法 Vol.8
  • 脳神経科

●補助療法 ●低アレルギー食
恐らく主要因ではないが、低アレルギー食が難治性てんかんを低下させる。(薬剤と併用)
皮膚疾患治療に用いられるものでよい。2〜3ヶ月後から効果が認められる。 ●ケトン食療法
脳内の乳酸の上昇がてんかん発作を止めることが分かっている。
36時間の絶食、高脂肪食で炭水化物やタンパク質に乏しい食餌
但し、犬ではケトーシスやアシドーシスをおこし難く、膵炎の可能性が高く、推奨できない。 ●鍼
犬や猫でも使われ始めているが、比較対照試験が不足している。 ●迷走神経刺激(VNS)
人では難治性のてんかんに対する有効性が示されているが、未だ機序は不明。
利点は最小限の副作用、コンプライアスンス、耐性が起こらない、相互作用しない。
欠点は予測不能、費用が非常に高価、手術を要する。

難しい痙攣発作およびてんかん重積に対する治療法 Vol.9
  • 脳神経科

●てんかん重責状態(救急対照)
てんかん発作が1〜2分以上経過しても止まらない状態。
来院時の注意点

  • 治療と同時進行しながら病歴を聴取する。
  • 体温が40℃以上なら冷却
  • 血液検査:電解質、Ca、グルコース、胆汁酸、中道スクリーニング、PCV、TP
  • 酸素供給
●ステップ1
ジアゼパム、ミタゾラムを用いる。IVが不可能な場合は直腸内、鼻腔内なども検討する。ミタゾラムはIMも可能。 ●ステップ2
ベンゾジアゼピン系が効果がない場合はフェノバルビタール。作用発現には20分程かかり、必要であれば30分間隔で反復投与。 ●ステップ3
(a)ベンゾジアゼピン系がうまく作用したがすぐにけいれんが再発する場合特に中毒系 ●ステップ3
(b)ベンゾジアゼピン系がうまく作用しなかったときレベチラセタムを用いる

難しい痙攣発作およびてんかん重積に対する治療法 Vol.10
  • 脳神経科

●ステップ4
ステップ3でもコントロールできない場合
プロポフォールによる昏睡、他の麻酔薬に比べいくぶんかの抗けいれん作用を持つ
費用を考慮する ●ステップ5
最後の砦
吸入麻酔、ケタミン(てんかん重積が30分以上の場合)
臭化カリウムの負荷用量投与 ●ステップ6
脳浮腫に対して酸素と輸液療法、利尿剤(フロセミド、マンニトール)、講演少量でのステロイド ●ステップ7
痙攣発作後の治療
胸部、腹部のレントゲン検査、尿検査、ECG、CT/MRI、CSF、胃洗浄(中毒が疑われる場合、但し鎮静状態であるので注意)

動画要約(全文)

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