VMN セミナー情報
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開催日: 2014年12月21日(日) |
<みんなの疑問解消編>疼痛管理、救急医療
講師
演題
疼痛管理、救急医療
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オンデマンド
Vol.1
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●質問と回答
ダックス、コーギーの椎間板ヘルニアの手術などでうつ伏せで腹部と顎のところにタオルを敷いて手術の体位を行うと毎回呼気C02が80mmHgくらいになって異常値になってしまいますが、なんででしょうか? 改善策などありますでしょうか?
●呼吸管理を理解する!
正常の換気状態は、呼吸数が1分間に8〜12回、気道内圧20cmH2O以下、1回換気量15ml/kg
呼吸様式における違いを理解する。自発呼吸と人工呼吸は違うことを理解する。
1回換気量15ml/kgはほとんどの動物で同じ。
コーギー、ダックスは体重の割に大きな換気量が比較的必要になるので、換気量を増やす必要があるかもしれない。
Vol.2
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吸気1、呼気2の割合が一つの目安。
換気法の理解が重要。
従圧式の人工呼吸は気道内圧を基準に換気をコントロールする。
従量式の人工呼吸は1回換気量を基準に換気をコントロールする。
十分な換気状態が維持できるように管理する。
●お寄せいただいた質問から
胸郭が広く、同じ体重の他の犬種と比べて1回換気量は多い(と仮定)= 今回の換気条件が十分でない可能性がある。
自発呼吸で管理しているのであれば、タオルや手術手技が呼吸を障害している可能性がある。
Vol.3
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●呼吸管理を理解する!
呼気終末CO2分圧が高値を示す原因としては、底換気、高体温、気管チューブのねじれが考えられる。
低換気は換気不全(呼吸不全)とほぼイコール。
今回はおそらく換気量を増加させることで対応ができる。例えば、呼吸数をあげる、肺胞内圧をあげる、呼気時間を長くするなどで対応する。
PEEP(呼気終末陽圧呼吸)について理解する。通常行う換気様式において、呼気相に陽圧をかけて、より酸素化の効率を高めることを期待する換気法。
Vol.4
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●肺胞開在手技
虚脱した肺胞を再開通させる。
呼気終末の陽圧状態を維持する。
気道内圧が高く、時間が長いほど効果は大きい。
20cmH2Oほどの圧をかけて3〜5秒維持し、3〜5回ほど繰り替えす。
●呼吸管理を理解する!
十分な換気状態が維持できいるように管理する。
一体どこまで大丈夫なのか??
低酸素血症はPaO2が60〜80mmHg以下
高炭酸血症はPaCO2が45mmHG以上
肺胞式:PaO2:肺胞内酸素分圧=FiO2:吸入酸素濃度×(大気圧ーSVP:飽和水蒸気圧)ー(PaCO2:動脈血中CO2分圧/呼吸商)
挿管して100%酸素で管理しているときはEtCO2の上昇は体の酸素化にはほとんど影響しない。
酸塩基平衡とpH:PCO2が10mmHg上昇する毎にpHは0.05低下する。
Vol.5
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●まとめ
胸郭が広く、同じ体重の他の犬種と比べて1回換気量は多い(と仮定)= 今回の換気条件が十分でない可能性がある。
自発呼吸で管理しているのであれば、タオルや手術手技が呼吸を障害している可能性がある。
循環(特に血圧の維持)に留意しながら換気条件を”きつめ”に設定し、管理換換気量・気道内圧。PEEP、PIP維持。
●質疑応答
術後の疼痛管理にオピオイドを用いた場合の消化管運動不全について
Vol.6
- その他
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●心肺蘇生法について●人医療における救急救命●獣医療における救急救命
現在、獣医療独自の明確な心肺脳蘇生指針は存在しない。
獣医療独自のより効率的な心肺脳蘇生指針の策定が必要
●RECOVERプロジェクト
http://www.acvecc-recover.org
Vol.7
- その他
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●意識のない(反応のない)患者に対して
評価はABCで行う。
●A:Airway(気道の確保)
触診、視診
●B:Breathing(換気)
胸の上下の動きを確認、空気の流れを感じる
●C:Circulation(循環)
脈の触診、聴診
●ゴール
心肺停止(CPA)の診断・確定 15秒以内で!が重要
●次に何をする?
もし100%CPAであると確認したら、一次救命処置(BLS)の開始!
CPAかどうかはっきりしなければ、、一次救命処置(BLS)の開始!
●BLSの手順
治療はCABで行う。
●C:Circulation(循環)
●A:Airway(気道の確保)
●B:Breathing(換気)
Vol.8
- その他
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●胸部圧迫時のポジション
大部分の犬・猫では胸部圧迫は横臥で実施すべき。
●どうやって圧迫すべきか?
●胸部圧迫:大型および超大型犬種
胸壁の最も広い部分い手を置く
胸を最大限い圧迫
●胸の深い犬種、小型犬および猫
胸の直上に手を置く
心臓を最大限に圧迫
●胸郭が樽状の犬(ブルドック、パク、フレンチブルなど)
仰臥位で胸骨を圧迫
心臓を最大限に圧迫
※仰向けでも安定する犬種。
※肋骨骨折や肋軟骨骨折は生命には関係ない。
●猫および超小型犬
外周(胸壁を手でつかむ)圧迫
心臓を最大限に圧迫
押しすぎないように!!(胸壁の1/2まで)
●胸壁圧迫のテクニック
犬も猫も1分間に100〜120回の圧迫
歌を歌いながら http://bethebeat.heart.org
胸の幅の1/3 to 1/2の深さで圧迫
胸壁の再拡張を完全に
2分サイクルで圧迫実施者を交代して疲労軽減
●胸壁圧迫中の除圧
強い圧迫に対して完全なる圧迫解除(除圧)による心臓および胸壁の拡張も重要。
各圧迫間に確実な除圧を1:1で実施することが必要。
●胸壁圧迫中の注意点
胸壁圧迫の中断を避けるもしくは最小限に!
Vol.9
- その他
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●口ー鼻 人口呼吸
鼻先から首を脊髄ラインに沿うように伸ばす
首を床の上で平らに保つ
手で口を閉じてつかむ
患者の鼻孔を自分の口でふさぐ
素早く息を2回吹き込む
●換気のガイドライン
- 1.口ー鼻
- 気管内挿管していない患者の場合は、もしくは単独でCPRを行う場合
胸部圧迫:換気 30:2(30回の胸部圧迫、2回の急速換気)
- 2.気管内挿管
- 可能であれば必ず気管内挿管を行う
横臥のままで挿管し胸部圧迫を中断しない。
換気と同時に行う
1分間に10回。1回換気量10ml/kg=普通に胸が上がる程度
呼気時間1秒
胸部圧迫のリズム:アンパンマンマーチ、Stayin' Aliveなど
Vol.10
- その他
- その他
●モニタリングの開始
ECG:心停止の診断、薬物治療の効果判定
呼気終末CO2分圧(ETCO2):胸壁圧迫の効果判定、自己心拍再開(ROSC)の判定
●CPR中に有用でないモニター
パルスオキシメーター:脈拍が必要
非観血的血圧測定:脈拍が必要
●CPR中のETCO2
ETCO2の上昇は心拍出量の増加、冠動脈血流の増加、動物および人における生存率の増加と関連がる。
●ETCO2ガイドライン
ETCO2<15mmHGの場合、通う部圧迫の質の再評価、適切な換気状態を確認する必要がある。
ETCO2の急激な増加の場合、自己心拍再開(ROSC)の確認。肺血流量の劇的な増加、脈拍を確認できるまで胸部圧迫を中止しない!
Vol.11
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●血管確保
本来は静脈投与だが、それができないのであれば骨髄内か気管内に投与する。
●静脈内(IV)、骨髄内(IO)投与ルート
いずれの投薬ルートも作用発現は速やかかつほぼすべての薬剤を投与可能。
末梢静脈ルートは合併症も少なく第一選択で、末梢静脈より投与後0.5ml/kg以上の等張晶質液を用いて、薬剤を後押しすると効果発現がより早まる。
中心静脈ルートは最も薬物効果発現が早いが、カテーテル設置に技術と時間をようするため、蘇生処置中の設置は困難。
様々な理由(静脈虚脱、超小型動物)で血管確保が困難な場合、外頸静脈への外科的アプローチや骨髄内投与を検討。
●経気管チューブ投与(IT)ルート
CPR中に簡単で素早く利用可能な投与経路
気管チューブ内に栄養カテーテルを通し、気管チューブ先端付近で薬剤を投与
主な投与可能な薬剤:NAVLE
N:ナロキソン、A:アトロピン、V:バソプレシン、L:リドカイン、E:エピネフリン(アドレナリン)
重炭酸ナトリウムなどは投与不可。
多くの場合は静脈内投与料の2〜3倍の容量を用い、または注射用蒸留水もしくは生理食塩水(5ml/20kg)で希釈する。蒸留水のほうが薬剤の吸収が早い。
吸収が肺胞血流の影響を受けるため、効果発現が不安定(あくまで緊急的な手段、第一選択ではない)
●拮抗薬
鎮静剤が使用されている場合拮抗する。
フルマゼニル:ベンゾジアゼピンの拮抗
ナロキソン:オピオイドの拮抗
アチパメゾール:α−2作動薬の拮抗
鎮静薬投与後、長時間経過していても薬剤の残存が呼吸抑制に作用している可能性があるので拮抗薬を投与する。
アトロピンは人医ではエビデンスがなく削除されている。
獣医療ではアトロピンは第一選択ではないが迷走神経活性が高くそれが心停止に影響している可能性のある短頭種、嘔吐や呼吸の障害後の心停止、呼吸停止には推奨。
●静脈内輸液剤投与
等容積もしくは過容積性の犬・猫のCPR中、通常の静脈内輸液剤の投与は推奨されない。
Vol.12
- その他
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●ECG評価のポイント!
●心室細動(VF)
●電気的除細動
●電気的除細動;いつ行うべきか?
- 3相モデル
- 電気的活動相:細動の確認が4分以内ならすぐに除細動を行う。
循環相:細動の確認が4分以上ならまず心臓マッサージを行いつつ、チャージできたら除細動を行う。
代謝相:細動の確認が10分以上なら不可逆性の虚血性障害。虚血性還流障害のリスクが高い。
VFの診断はCPRの周期間に行う。
電気的除細動を行った後は手を休めずに心臓マッサージを行い2分後に評価するを繰り返す。
●仰臥位にポジション
パドルを胸壁の両側に設置
犬、テーブルなどに触れないように
すべての人は離れていることを確認
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