VMN セミナー情報
|
開催日: 2011年6月5日(日) |
内科学セミナー 知っていて損はない心臓病>腎臓病のあんな話・こんな話
講師
演題
関連ハンドアウト(参考資料)
オンデマンド
Vol.1 猫の肥大型心筋症(1)
- 一般内科
- 循環器科
- 一般内科
- 循環器科
●予防療法の開始時期
1.ATE(血栓塞栓症)の既往がない&LA(左房)の拡大のないものは実施ぜず。
※左房拡大は必ずエコーで確認する。
2.LAの拡大があるもの(>1.6cm)は症状のあるなしに関わらず低容量アスピリンを提案する。
3.以下の何れかが見られたら低分子量ヘパリンか低用量アスピリンを提案する。
LAの拡大(>2cm)、ATEの既往、LA内もやもやエコー、LA内血栓(遊離・固着)
※低分子量ヘパリンか低用量アスピリンどちらが効果的なのかというと低分子量ヘパリン。
●LA内もやもやエコー動画(スモークエコー・Spontaneous Echo Contrast)
※LAが拡大したものはベトメディンを投与することで拡大が小さくなることを最近多く経験している。
●低分子量ヘパリン
凝固系を観察しなくてもよく、低容量アスピリン(5mg/kg、q72h)よりは効果が高い。
低分子量ヘパリン(100U/kg,SC)のデメリットは飼育者が1日1回皮下注射しないといけない。
※低容量のアスピリンは有害反応がなく効果的でワルファリンよりも優れている。
Vol.2 猫の肥大型心筋症(2) 血栓栓塞症の治療法と予後評価
- 一般内科
- 循環器科
- 一般内科
- 循環器科
●バルーン・カテで血栓を除去(動画)
大腿動脈あるいはその周辺にある血栓しか除去できない。腎動脈周辺などではどうしようもない。
●ウロキナーゼ使用法
動脈内局所投与ができない、カテーテルが挿入できないことなどがある。
成功率が高くない。
●モンテプラーぜ(クリアクター)
世界中で最も進められるのはTPA(組織プラスミノーゲンアクティベーター)
2.5〜3万IU/kgを数分かけてIV。ただし高価である。
●肥大型心筋症の診断時所見による生存期間
20年前であれば血栓塞栓症があれば6ヶ月以内にほぼ全例が死亡していた。
●来院時の直腸温と短期予後の関係
最も予後判定にすぐれたパラメーターは体温であった。
50%生存率は体温が37度。34度を下回るような症例は積極的な血栓溶解治療を提案していない。
※温めて上昇させても予後が悪くなることが予想される。
●猫の動脈血栓塞栓症の基礎疾患
心筋症だけではないという認識を持たなけれあいけない。
約7割は心筋症などの心臓疾患であるが、甲状腺疾患や腫瘍もある。
血栓塞栓症があった心疾患がなkれば次には肺のレントゲンで肺腫瘍を確認するとよい。
Vol.3 猫の肥大型心筋症(3) 心エコー検査時の留意点は..
- 一般内科
- 循環器科
- 一般内科
- 循環器科
●MRは聴診器1本で診断していいが、猫の心筋症の診断には必ずエコーが必要。
●猫の心エコー検査で抑えたい観察項目
1.心室壁厚(中隔・左室自由壁) 乳頭筋レベル>6mm(拡張期)
2.左心房 サイズと血栓の有無
3.左室流出路狭窄
4.僧帽弁逆流と収縮期前方運動
5.心内膜の輝度
※甲状腺機能亢進症と全身性高血圧は除外すること。
●エコー所見
猫では以前は高血圧だと中隔壁と自由壁の両方が同じように肥厚すると言われてきたが、今では否定されている。
僧帽弁逆流を併発している猫のほうが予後が良いと言われている。
血栓は中隔側ではなく心耳側にできるのでじっくりエコー検査する。
●脱水により心臓形態は大きく変わる。
利尿剤を投与されている場合はエコー検査だけだと肥大型心筋症と誤診しやすいので注意。
Vol.4 猫の肥大型心筋症(4) やはり診断には心エコー検査が不可欠?
- 一般内科
- 循環器科
- 一般内科
- 循環器科
●心エコー検査よりは劣るが、NT-proBNPの測定は猫では心筋症の診断に有益である。
●猫でも非常に有効だと期待できる。
1.適応
心室収縮性(FS)が正常〜低下
拡張相肥大型心筋症
うっ血症状管理が困難
2.使用法
0.25mg/kg,q12h
Vol.5 無症状の僧帽弁閉鎖不全症の治療(1)ACEIの有効性に関するエビデンス
- 一般内科
- 循環器科
- 一般内科
- 循環器科
●クラスB(無症状のMR)の治療の概要
B1(心拡大がない):見解一致
・薬物・食事療法は不要
・年に1回の検診(画像診断を含む)
B2(心拡大がある):見解不一致
・ACEI:LA拡大→大部分の委員が推奨
・β遮断薬:少数の委員が推奨
・上記以外の薬剤は不要:大部分の委員が一致
・食事療法:大部分の委員が推奨
※ただし、B1でもACEIを投与したほうがよいという論文もある(ただしキャバリア以外)
Vol.6 無症状の僧帽弁閉鎖不全症の治療(1)ACEIの有効性に関するエビデンス
- 一般内科
- 循環器科
- 一般内科
- 循環器科
B1で無治療であれば心不全症状が出るのは平均3.7年後。ACEI投与群では6.4年後。
●VHS値から推測できるか?
MRのキャバリアでは心不全の見られる1年前から急激なVHS値の急上昇が見られる。これは左房や左心室の拡大も同じ。
●1年後に心不全がでるかどうかのパラメータで信頼できるのは?
エコー:感度が高いのは逆流分画、特異度が高いのはESVI (ただし、どちらも面倒くさい..)
血液検査:NT-proBNP(IDEXXは昨年測定基準を変えているので注意。以前の数値の0.7掛けになっている)
Vol.7 肺水腫の僧帽弁閉鎖不全症の治療(4)重要な雑談:利尿剤について竹村はこう考える
- 一般内科
- 循環器科
- 一般内科
- 循環器科
●症例
トラセミド(作用機序はフロセミド+スピロノラクトン)
用量:1回量=フロセミドの1/1量、SID-BID
持続時間:フロセミドよりも長い
長時間作用型の利尿剤が流行りになってきているが、家族が不眠になっていることが多いので注意。
※朝はトラセミド、夜はフロセミドなどの工夫を行うことが町医者としては大事ではないか?
Vol.8 慢性腎不全の早期発見のKye 尿比重の落とし穴とは..
- 一般内科
- 循環器科
- 一般内科
- 循環器科
早期に腎臓病を発見する有効な検査は尿比重である。
●尿比重の考え方
犬>1.030 猫>1.035が重要。
●健康犬での尿比重の日内変動
朝の尿が一番濃い。比重の評価は朝一の尿が一番いいと考えられる。
●尿比重の測定は正しいか?
人間用の機械では正確な犬猫の尿比重は測れない。
●屈折計の屈折した話
日本の屈折計がアメリカの屈折計より高く出る。
日本製のヒト用屈折計を用いたUSG補正式&補正表
●この症例は治療する?しない?
※申しありませんが、録画の見解からこのセミナーの症例残り部分はありません。
お問合せよりご質問ください。