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開催日: 2011年2月6日(日) |
内科学セミナー 臨床家が知っておくべき内科学

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オンデマンド
Vol.1
- 一般内科
- 一般内科
●症例1食道狭窄
内視鏡でバルー(バルーンダイレーター)を持ちい拡張させ、狭窄を治療。膨らませた後にスクラルファート塗布する。
再狭窄が起こるので、狭窄部位を再度拡張させる必要がることが多い。
バルーンダイレーターは細いもので直径6mm、太いもので直径20mm。長さは8cmほどまである、猫には直径6〜8mm、犬だと直径12〜18mm程度を用いる。1本5〜8万ほどする。
フォーリンカテーテルや気管チューブなどでは圧がかからない。生理食塩水ではなく注射用水を用いる。同一固体では再使用しているが、生理食塩水では錆びるため。
●嘔吐とは
異物や毒物を誤って摂取した際に働く生体反応。
嘔吐は下手に止めないほうがいい場合もあるので注意。
●嘔吐中枢刺激経路
●嘔吐と吐出
吐出は多くは食道異常が疑われる(より上部の咽喉頭に異常があれば嚥下困難が起こる)
嘔吐は胃や十二指腸の異常、もしくは全身性の異常が疑われる
Vol.2
- 一般内科
- 一般内科
●嘔吐と吐出の鑑別
吐出は食べたものがそのまま未消化で出て来る。アルカリ性。食後30分以内。
嘔吐は食物(一部消化)と胃液、もしくは胆汁等が混ざるっていることもある。酸性(ph3以下)。直後から時間は様々。
巨大食道症の時には白色の泡状(メレンゲ状)のものを食事と関係なく吐出する。
●吐出の原因
通過障害:先天的→血管輪の異常、後天的→異物、腫瘍(人に比べ犬猫の場合は食道癌は少ない。前縦隔の腫瘍や胸腺腫瘍が多い)
機能異常:先天性→特発性巨大食道症、後天性→後天性巨大食道症、ミオパシー、ニューロパシー、重症筋無力症、副腎機能低下症、甲状腺機能低下症、鉛中毒、ジステンパー、皮膚筋炎
●食道内異物
骨、皮でできたおやつ、釣り針、ジャーキー、ガムなどがつまる。
胸腔入り口、心基底部、下部食道括約筋付近が多いが、釣り針などは咽頭部直下にもつまることがある。
症状は突然の吐出で、水なら飲めるが食物は吐出してしまう。水を飲むと痛がる。
まずは単純レントゲン検査、状況によってバリウム造影を行う。異物だとわかり内視鏡を直後に使うような場合はバリウムではなくガストログラフィンのようなヨード系水溶性造影剤を用いる。
穿孔を伴う場合は、胸水、気胸、縦隔気腫、縦隔炎などを認める。穿孔がある場合は内視鏡は禁忌。
●症例
釣り針による食道内異物。
釣り針の場合は、2/3の症例で内視鏡により摘出できたという報告がある。
内視鏡も短時間ではあるが外科手術とほも同額の料金を請求してよいと考えている。
内視鏡では返しのある針よりも3本針以上のほうが摘出しにくい。
●異物の回収方法
内視鏡の先端にキャップをつけ、その中に入れて回収したり、オーバーチューブをかぶせて引き込む。
Vol.3
- 一般内科
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●食道炎
胃液の逆流による逆流性食道炎が最も多い。
手術をして数日経過して吐出が起こった時には逆流性食道炎を疑う。
避妊手術など15〜20分でも胃液が逆流して食道に停滞すれば逆流性食道炎が起こる可能性があるので、少し頭を上げ気味にしておくとよい。
異物や刺激物の摂取、異物除去後の食道炎に注意する。
猫ではテトラサイクリン系抗生物質の錠剤が食道粘膜に張り付くことによる食道炎が見られることがある。(必ず水を飲ませる)
食道炎は内視鏡ではっきりとわかる。また、人間と違い食道癌が見られることはほとんどない。
●食道炎の治療
スクラルファートの懸濁液。錠剤だど食道には効果がないので、必ず潰して水と混ぜて投与する。炎症がひどい場合は抗生物質も用いる。
胃酸の逆流があると食道炎が悪化するのでH2ブロッカーなども用いる。さらに蠕動促進剤を用い食物の通過時間を早くする。
狭窄が起こったらバルーン拡張術を行い。食物の通過が食道炎を悪化させる場合は、PEGチューブで直接胃に食物を入れ、口からは水とスクラルファート混濁液のみを与える。
スクラルファート懸濁液は食間と言われるが、食事と同時投与でも差はないとする報告もあるので、時間のある飼主には食後2時間後投与。時間がなければ食事と同時でもよい。
Vol.4
- 一般内科
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●巨大食道症
昔は食道アカラジアというのがあったが、これは下部食道括約筋が緊張して噴門狭窄があり食物が通過できないため起こる。犬では人間のように起こらない。
重症筋無力症が疑われる場合は、アセチルコリンレセプター抗体を測定する。(テンシロンテストにより確認できるが、違っていたらアトロピンをすぐに投与する)
●巨大食道症の治療
犬の場合、効果的な蠕動促進剤はないといわれているが、使用するとなんとなく効果がある感じはする。
食事を高いところにおきあたえる。重力の力で食べ物を胃に送り込む。
小型犬であれば食後に縦だきにして30分くらい過ごす。
アセチルコリンレセプター抗体が陽性の場合は、プレドニゾロンやピリドスチグミンを用いる。
プレドニゾロンを使うと、食欲増進作用もあり、誤嚥性肺炎のリスクが高くなり、アザチオプリンを推奨している大学もある。
Vol.5
- 一般内科
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●嘔吐の原因:胃腸の通過障害
●胃内異物
催吐剤の投与特にオキシフルの投与は疑問である。食物と一緒に異物を飲み込んだ場合は、内視鏡を入れても見えないことがあるので、トランサミンを静注することで食べ物を吐かせる方法もある。
大きな異物は吐根シロップを用いるという話もあるが、2〜3日かかることもある。
もちろん吐かせていいものかどうかを見極めることが重要。
内視鏡では直径3cmくらいまでならバスケット鉗子でとれる(ちなみにゴルフボールは直径4cm)。それより大きくても形を変えられるものは摘出できる。
ひも状異物は無理にひっぱると穿孔する可能性があるので、注意が必要。とれないようなら外科手術の適応。
棒状異物は縦方向にしてつまむ。
異物によっては摘出時に粘膜の損傷を防ぐため。キャップやオーバーチューブをかぶせる。
●症例(胃腺癌)
内視鏡でバイオプシーする場合は胃潰瘍部分を採取しても潰瘍しか分からない。腫瘍を疑うなら周辺部を採取する。
犬の場合は粘膜面に病変がないことが多いので注意する。(生検だと半分くらいの症例しか診断できない可能性が高い)粘膜面から3〜4mm以上の部分を採取しないとなかなか診断できないことが多い。
Vol.6
- 一般内科
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●動物用電子内視鏡
体重30kg程度の犬でも人用の110cmでは十二指腸をみることはできない。140〜150cmのスコープが必要。
小型犬や猫だと、細くて(6mm以下の外径)で、長さも100cm程度あったほうがいい。それでいて操作性が低下しないもの。
オリンパス製だと、5.5mmで110cmと8.8mmで140cmの2本でよくカバーできると思われる。5.5mmは呼吸にも用いることができる。
●上部消化管の内視鏡検査の実際
前処置:最低12時間の絶食(前日の9時以降)、絶水(5〜6時間でOK:当日の朝から)
麻酔:吸入全身麻酔
局所麻酔:キシロカインで咽頭を麻酔(内視鏡の先端に塗る)
体位:原則的に左側横臥位のほうが十二指腸へ挿入しやすい。PEGチューブの設置の時は右側横臥位。
消泡剤:ガスコン水の注入。50倍〜100倍くらい。
その他:アトロピンは投与すべき。
●合併症
挿入時:吐き気(全身麻酔ならない)、徐脈、胃の過膨張。
鉗子操作での穿孔、異物による損傷、穿孔。
Vol.7
- 一般内科
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●内視鏡検査の位置関係
いつも同じ位置関係で行えば、見えるものも同じ。
●食道の観察
空気を入れて膨らませて観察する。巨大食道であればすでに膨らんでいる。
●胃の観察
16箇所を観察する。胃体中央部4カ所、胃角周辺部4カ所、幽門3カ所、反転させて胃底部3カ所、噴門2カ所
●胃粘膜イラストマップ
胃粘膜イラストマップで記録を残す。
●十二指腸の観察
胃は胃角がランドマークになるが十二指腸はない。
大十二指腸乳頭部、小十二指腸乳頭部、十二指腸下行部、十二指腸曲部、十二指腸上行部、空調移行部を観察する。
●深部粘膜部までの生検法
適切な生検と不適切な生検の解説
濾紙固定法の解説。
質疑応答
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