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開催日: 2011年1月16日(日) |
循環器セミナー 知って得する臨床循環器学
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演題
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オンデマンド
Vol.1
- 循環器科
- 循環器科
●イントロダクション
●心臓病の特徴
1.品種
キャバリアは5〜6歳迄に50%に心雑音を認める。10歳前にほとんど全てに心雑音を認める。
世界的にはダックスが2番目に多いが、日本ではあまり見られない。だた、ヨーロッパでは頻繁に認められる。これはブリーディングの問題か?遺伝病?
大型犬では拡張型心筋症に注意
猫では洋猫の長毛種に肥大型心筋症が多い。6mm以上は心筋肥大とされる。
2.年齢
<1歳 先天性心疾患
>6歳 後天性心疾患
3.性別
後天性心疾患は雄に多い。
先天性心疾患で動脈管開存症は雌の遺伝的要因に左右されるので雌に多い傾向がある。
●猫の乳腺の概要
特に結腸、直腸、肛門周辺は他の部位と違う細菌叢をターゲットにしなければいけないことに注意する。
感染による合併症を防止するために、広域の抗生物質を使うだけでなく、術前投与も行ったほうがいいかもしれない。
●心臓病の診察にあたって
1.主訴を明確にする
プログレムリストを作成
※心臓病で一番問題になるのは呼吸の問題。循環不全が起こっていても呼吸器系のトラブルが起こっていなけければある程度対応できる。
●呼吸の異常
※飼育者は呼吸の異常に気づいていないことがあるので注意。
努力呼吸の場合は、肺水腫、短絡血流、胸水・心嚢水、呼吸器疾患の可能性がある。
パンティングとの区別に注意。特に夏場。舌の色、結膜、粘膜の色の確認。酸素飽和度の確認(97%異常であればOKだが、90%以下は要注意→まずは酸素室)。
Vol.2
- 循環器科
- 循環器科
●呼吸困難
起座呼吸をする。顎があがってくる。飼育者は「寝ない」などの主訴を訴えることがある。こういう場合は心臓、呼吸共に状態が悪い。
呼吸困難の場合はまず酸素室に入れる。
※検査・治療のための横臥位保定には十分に注意する必要がある。
※呼吸様式がおかしい、心疾患が疑われる場合はDV(背-腹)で撮影して、左右の肺の状態を把握してから、次のステップに進むほうが安全である。
※VDでの撮影では5秒ほどでも命取りになることがあるのでかならず心疾患が疑われる場合はDVを推奨。また、急激な体位変換は避けること。
Vol.3
- 循環器科
- 循環器科
●僧帽弁閉鎖不全症
ICU、酸素吸入、利尿剤、強心剤、血管拡張剤の点滴
●呼吸の異常
咳あある場合は、心臓疾患からか呼吸器疾患からかを見極める。
肺は聴診だけでは診断鑑別することが難しいこともあるのでフロセミド2mg/kgの診断的投与を行うこともある。
レントゲンで気管は正常でも気管分岐部で異常があることもあるのでよく観察する。この場合は肺水腫がなくても咳が持続することがある。この場合に利尿剤を投与しすぎないように注意する。
呼吸の異常は、肺水腫、胸水、心嚢水でも起こるので注意する。聴診により音の大きさ(心臓の音が聞こえにくい)などを注意する。
※家庭では呼吸回数を記録してもらうとよい。特に寝ている時に1分間の呼吸数を数えてもらう。急激に呼吸数が上がるようなら来院を勧めておく。
Vol.4
- 循環器科
- 循環器科
●腹水
呼吸困難に関係して右心不全では腹水が貯まることが一般的、腹水が貯まるようなら早めに腹水を抜く。慢性心タンポナーデでは亜急性。
※以前は腹水は栄養面と循環不全面から一回で全部を抜かずに、まず半分くらい抜いて、残りは残しておくと言われていたが、できるだけ抜くほうがいいと思われる。
腹水貯留時は運動性を控える、体を冷やさない(重要:37℃台以下は要注意)、栄養価の高いもの(タンパク質のしっかりしたもの)、あるいは食べるものを与える。
●失神
徐脈、短時間の心停止、非持続性で重度の頻脈の群発。
●僧帽弁閉鎖不全症の失神
Vol.5
- 循環器科
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●運動不耐性
心不全で血液不足、動脈血酸素分圧の低下、ヘモグロビン濃度の減少が骨格筋の酸素不足をまねき、運動不耐性がおこる。
●体重減少
先天性の心疾患の場合、体重減少や成長遅延が起こることもあるが全てではなく、重度の心疾患動物でもその多くは正常に成長する。
後天性の心疾患の場合には栄養不良を起す。
●虚弱
骨格筋への血液還流減少による酸素運搬量の減少、全身性の消費量のいずれか一方または両方に起因する。
蛋白尿が見られる場合は悪液質に繋がるので、血管拡張薬をなどを投与して蛋白尿を防止する。
心臓が悪くて蛋白尿を放置すると次第に腎臓が悪くなるので注意する。また、循環不全から腎臓が悪くなることもあるので腎機能のモニターも必要。
●チアノーゼ
中心性と末梢性がある。多くの場合は中心性が問題となる。
動脈血の酸素飽和度が70%以下になった時にチアノーゼ(正常97%以上)
動脈血の酸素分圧40mmHg以下になった時にチアノーゼ(正常90mmHg以上)
重度の短絡性心臓病における左右短絡として最も一般的に認められる。
多血症で症状が見られるのはHtが75%以上になった時。食欲がなくなったり、元気がなくなったりが見られる。その場合は60%を目標に瀉血を行う。
身体検査で、舌、歯肉におけるチアノーゼが見られた場合、全部ではないが、青白色なら血液還流量の低下、暗赤色〜赤褐色なら多血症が疑われる。
CRT(毛細血管再充満時間):頬粘膜で1〜2秒、歯肉粘膜で1秒以内。
右心系に問題があると頸静脈の怒張と波動が認められる。この場合、三尖弁閉鎖不全があるとか、右心不全の可能性がある。
Vol.6
- 循環器科
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●四肢の確認(脈)
大腿動脈の拍動を感じる。
指圧で感じる脈圧は収縮期と拡張期の全身血圧の差である。動脈圧が触れなくなったら40mmHg以下である。脈が触っていても40mmHg以上であるだけで、注意が必要である。
脈の種類と特徴。バウンニングパルス、強い脈、奇脈、欠損脈、交互脈。脈拍の波形の変化を見極める。
浮腫:心臓より後ろ、後肢、下腹部などに浮腫が見られる
冷感:末梢循環不全や猫では血栓栓塞症で見られる。
Vol.7
- 循環器科
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●聴診を行う前に
聴診は非常に重要でる。様々な聴診器があるが、おすすめは成人用である。新生児用や小児用はピンポイントしか聞こえない。
膜型は高周波、ベル型は低周波を聞く。
聴診には心周期をきちんと理解しておくことが重要である。
●正常な音:第1音は僧帽弁と三尖弁の閉鎖音、第二音は大動脈弁、肺動脈弁の閉鎖音になる。
●異常心音」第3音は異常な心音で雑音ではない。第4音は1第1音の前に出て来る。3音、4音共に心拍が早くなるとギャロップ音として聞こえる。
Vol.8
- 循環器科
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●心雑音の原因
聞き分けるポイントは、聴診部位(一番重要)、発言時相、持続時間を見極める。
雑音の強さ、タイプを見極める。
生理的心雑音(収縮期)の原因には重度の貧血(Ht20%以下で見られることがある)、低蛋白血症(TP4g/dl以下で聞こえることがある)、甲状腺機能亢進症、ストレスなどで見られる。
無害性心雑音(収縮期)は生後6ヶ月の間は左心基底部あたりでグレード3以下で聞こえることがあり、7〜8ヶ月位まで聞こえる。心臓の成長と大動脈の成長のアンバランスから起こると考えられている。心臓の成長に血管の成長が追いつかず、狭窄を起しているような状態。
拡張期雑音は大動脈弁閉鎖不全、肺動脈弁閉鎖不全で聞こえる。
連続性雑音は動脈管開存症。
ブランコ雑音は大動脈弁閉鎖不全と心室中核欠損、その他複数心疾患の合併。
心雑音は状態によって変わってくるので治療効果をみるのにいい。
聴診を上達するなにはよく理解してトレーニングする。
質疑応答
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