講師:Dr. Mark E. Petersonについて
Dr. Mark E. Petersonは1976年、ミネソタ大学において極めて優秀な成績で獣医学博士を授与され、主席で卒業。ニューヨークに移り、世界最大の動物病院であるアニマル・メディカル・センター(Animal Medical Center)でインターンシップとレジデントを修了した。その後ニューヨーク病院・コーネル医療センターで内分泌学および核医学の博士研究員過程を修了した。この研究員過程が米国国立衛生研究所に認められ資金が供給されることとなった。1981年には米国獣医内科学会(American College of Veterinary Internal Medicine)から内科専門医として認定された。
Dr. Petersonは30年にわたり、アニマル・メディカル・センターで内分泌学科および核医学科の科長を務めた。また、ペンシルバニア大学獣医学部の非常勤教授(1996年〜2000年)、ワイルコーネル大学医学部放射線学準教授(1983年〜2005年)、コーネル大学獣医学部の内科准教授(1982年〜1988年)を歴任した。
これまで30年以上にわたり、犬と猫の内分泌疾患の理解を推し進めることを目指し研究を進めてきており、特に猫の甲状腺機能亢進症および糖尿病、犬の甲状腺機能低下症、糖尿病、クッシング症候群、アジソン病に興味を寄せている。Dr. Petersonは猫の甲状腺機能亢進症を初めて文献に記述した獣医師であり(1979年)、甲状腺機能亢進症の猫を放射性ヨウ素で治療した(1980年)最初の獣医師でもある。また、甲状腺機能亢進症に加え、先端巨大症、副甲状腺機能低下症、インスリノーマ、アジソン病などの、猫における数々の“新しい”疾患を最初に文献で記述した人物である。
Dr. Peterson の臨床研究や臨床上の発見を称え、ビーチャム高度研究賞(1985年)、ラルストンピュリナ小動物研究賞(1987年)、猫の医学に対する優れた貢献に対するカーネーション賞(1988年)、ニューヨーク市獣医師会(VMA)のメリット賞(1989年)、小動物診療に対する優れた貢献に対する英国小動物獣医師会(BSAVA)のブージェラ賞(1993年)、小動物内分泌学に関する知識の伸展における卓越性に対するダニエルズ賞(1991〜1997年、1999年、および2001年)、ウィン猫基金が出資しアメリカ獣医学基金が授与した猫研究優秀賞(1997年)、アニマル・メディカル・センターの年間功労者賞(1998年)、四半世紀以上にわたる献身的な犬猫の内分泌疾患研究に対するバイダウィー協会の優秀博愛事業賞(2002年)など、複数の賞を受賞している。また、ニューヨーク市獣医師会(NYC VMA)の獣医学に対する優秀事業賞(2008年)、同じくニューヨーク市獣医師会から会長感謝状(2011年)、ニューヨーク州獣医師会から会長感謝状(2011年)を授与されている。最近では、ニューヨーク市獣医師会より2012年の最優秀獣医師に指名された(2012年)。
Dr. Peterson は480件を超える論文や研究抄録、書籍の章を発表・出版しており、小動物内分泌学の主要な教科書など、複数の編集にも携わっている。その業績には500を超える講義があり、米国だけでなく海外でも数多く獣医学や医学に関するセミナーで講演している。
また、獣医療の組織化や獣医学の卒後教育にも深く関わっており、比較内分泌学会(Society of Comparative Endocrinology)の設立メンバーであり、初代会長でもある。2006年から2012年まで、ニューヨーク市獣医師会(NYC VMA)の執行委員会の委員を務め、その間に卒後教育プログラム委員会のトップとして委員会を率いた。2010年から2011年まではNYC VMAの会長として貢献した。
2001年、ニューヨーク市から約35マイル(約56 km)北に位置するニューヨーク州ベッドフォードヒルズに、甲状腺機能亢進症の猫を放射性ヨウ素で治療するための施設であるHypurrcatを設立。2005年には拡大のため同地域内で移転。この新しい施設ではAnimal Endocrine Clinicも設立し、核医学画像検査センターを開設するために必要な核医学設備も整備した(動物用核医学画像検査)。
2009年にはニューヨーク市マンハッタンのアッパー・ウエスト・サイドにオフィスを開設。現在は、ベッドフォードヒルズのオフィスでもニューヨーク市のクリニックでも内分泌疾患の患者を診察している。いずれのクリニックにも甲状腺機能亢進症の猫を放射性ヨウ素で治療するためのHypurrcat施設を設置している。
2013年、 Dr. Petersonは、猫の疾患を扱うトップクラスの獣医学科学誌であるJournal of Feline Medicine and Surgeryの編集委員に就任。また、国際的かつ科学的な、獣医科学に関するオープンアクセスジャーナルの2つである、Veterinary SciencesおよびE-Cronicon Veterinary Scienceの編集委員も務めている。