FAST(迅速超音波検査法)オンラインプログラム

取得医インタビュー

FASTはいわば “高性能な聴診器”
スクリーニング法として最初の身体検査に取り入れるべきメソッド
― 人医療の一歩先を、新常識でリードする獣医療へ ―
 この度、VMNは米国のFASTVet.comと連携し、FASTVet.comが獣医師向けに開発したGlobal FAST®(AFAST® /腹部、TFAST® /胸部、VETBLUE®-Global FAST® /心臓およびGlobal FAST®の全体像)のオンラインプログラムを、日本語で順次公開することが可能になりました。まずはAFAST®(腹部)が公開済みです。
 そこで今回は、AFAST®日本語版の修了第1号となられた先生に、本プログラムを受講されてみてのご感想をお伺いしました!
 「AFAST®、実際どうなの?」「受講のメリットは?」と感じておられる先生方のご参考になれば幸いです。AFAST®の詳細が気になる!という方はぜひ、VMNのAFAST®詳細ページをご覧ください。

本岡 正彦先生
ハートペットクリニック(群馬県)

酪農学園大学獣医学部卒業、筑波大学大学院医科学研究科修了。群馬大学医学部生体画像診断学教室助手として、医学超音波画像診断の臨床および研究に従事。一次診療病院勤務後、ハートペットクリニック開院、現在に至る。群馬動物専門学校非常勤講師。2016年に公益社団法人群馬県獣医師会、群馬VMATを発足。委員として現在も携わる。
獣医師、日本超音波医学会認定超音波検査士(循環器・消化器)
専門は災害獣医療・臨床生理検査学・超音波画像診断学

~群馬VMATから一般診療まで~ AFAST®は別次元、高性能な聴診器として使う!
AFAST®を受講しようと思われたきっかけは?

私は臨床医として日常診療に携わる傍ら、災害獣医療にも力を置いており、災害時には群馬VMAT(※)の一員として災害現場へも出向きます。
災害現場では獣医療にかなりの制約がある中で、超音波検査は唯一の画像診断法として重要なツールとなります。災害獣医療における医療レベルのさらなる向上のためにも、AFAST®は身につけるべき非常に有用な技術であると考え受講しました。

「FAST」はよく救急向けの診断方法だと認識されていますが、受講された後にそれについてはどう思われますか。

もちろん救急分野では最重要検査だと思います。一方で一般診療においても、物言わない動物の重症度を、瞬時に科学的根拠をもって判定する技術として重要であるといえます。
いわば「高性能な聴診器」。救急分野、一般診療ともに「FAST」はこうした位置にあるかと思います。

AFAST® の受講前後で、「FAST」という診断方法に対する印象は変わりましたか?

私は以前、人医療において、超音波画像診断の臨床および研究に従事していたこともありました。その時代の超音波検査といえば、じっくり時間をかけて隅々まで診る検査というイメージでした。
しかしAFAST®を受講してみて感じたのは、これが今までの超音波検査とは全く別の次元、別の検査(項目)であるという印象です。「FAST」を高性能な聴診器として最初の身体検査で取り入れ、スクリーニング法として問題発見に活用すべきだと実感しました。

超音波画像診断に自信のない先生にこそ、まずAFAST®を。新しいコアスキルです。
AFAST®のオンラインプログラムは、誰もが習得しやすい内容でしたでしょうか。

ビギナーに向いています。内容が分かりやすいです。
超音波画像診断学を研究していた経験から鑑みても、まずAFAST®の知識と技術を習得し、その後必要に応じて臨床病理学的超音波診断を学ぶという流れが、体系的な理解につながると思います。

AFAST®の修了後、既に臨床現場で活用されていることはありますでしょうか。

一般診療において、病態が把握できない全ての患者さんにまず実施しています。

AFAST® AFAST®をもし誰かに勧めるとしたら、どのような獣医師に勧めたいと思われますか。

一般診療に従事する先生方にこそお勧めします。救急医や、私のように災害獣医療を志す方だけでなく、全ての先生方に高性能な聴診器として取り入れていただきたいと思います。

「FAST」で診療が変わる。獣医療のさらなる高みへ。
そのほか何かお気づきの点やコメント等があればぜひお知らせください。

例えば一般診療で遭遇する、気胸。我々はレントゲンで診断すると学びました。しかし実は、ガスの検出感度は超音波の方が高いのです。「FAST」という超音波スキルは、新しい概念であり、これからの診療を大きく変える可能性があります。だからこそ、「FAST」を救急分野での普及ではなく、一般診療に有用な超音波診断法として広めていただきたいと思います。
現在、本邦の人医療においても「FAST」は救急医療の一部で、私の知る限り一般診療には組み込まれていません。獣医療でのAFAST®の普及は、人医療の先を行く先見性であり、VMNサービスのクオリティの高さを感じます。
私はTFAST®、Vet BLUE®-Global FAST®も受講予定です。今から、非常に楽しみにしています。

※群馬VMATとは
我が国は災害大国であり、阪神淡路大震災の経験から人医療においては災害医療チーム(DMAT)が設立されました。獣医療においても、東日本大震災の経験から被災動物への組織的な支援救護の必要性が求められました。群馬VMATは2016年、日本では2番目に設立された災害動物救護チームです。獣医師、動物看護師を含め隊員数63名、動物救護車両2台、動物ドクターカー1台を所有しています。現在、群馬県や県内市町村と災害協定を締結し、県内外の災害被災動物支援活動を行っています。
ご注意

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